こんにちは!
Mike Stern氏の大ファン、満田です!
以前彼のライブに行って実際に見たことテーマに今回は書かせていただこうと思います。
では本題の前にMike Stern(以下スターン)氏がどんなプレイヤーなのかをお話致しましょう。
基本的な括りで見るとジャズ・フュージョン系のギタリストです。
非常に独特な作曲センスを持っており、半音階を多用した常にアウト感を漂わせるスリリングな楽曲が特徴的でしょうか。
一度聴けばその“スターン節“のクセの強さが非常によく分かると思います。
しかしながら美しいバラード調の曲も得意だったり、シンプル且つメロディアスな楽曲も多く持っていたりと、幅広い作曲能力を持っています。
また、ギターのサウンドも同様に“スターン節“が強く出ており、これまた一度聴けばすぐに彼の音だと分かる程の個性を放っております。
常にデチューン(もしくはコーラス)とショートディレイとリバーブを掛けっぱなしして空気感を強調したサウンドを基本セッティングにしており、更にはリズム感やアーティキュレーションもギタリストのそれとは異なる、管楽器のようなフィーリングを感じる独特なスタイルです。
インプロヴィゼーションはバップのアプローチを基本としたコーダルなソロを取り、オクターブ奏法や3~4声のコードソロも用いるなど、Wes Montgomeryを彷彿とさせる展開を繰り広げることもあります。
個人的にはコードソロやバッキングのボイシングから強烈なセンスを感じるプレイヤーです。
さて、前置きが長くなりましたが私が何度かブルーノート東京とコットンクラブで氏のライブを見た時の感想や発見等を書いていきます。
これは初めて見に行った時のエピソードなのですが…
まずは開演前にセッティングを拝見、と思ったらスターン氏のセットはアンプと未完成のボードのみ。
ほとんどの場合はローディーの方々がセットを済ませてステージが完成されているはずなのですが……
どうしたことか、と思っているとなんとスターン氏本人がギターケースを背負ってステージへやってきたではありませんか!
ギターを取り出しスタンドに置き、そしてケースのポケットからエフェクターを取り出し自身でセッティングを始め、ついでとばかりにその場でウォーミングアップでガンガン弾きまくるというなんとも嬉しい状況に!
更には自身のトレーラー映像を見ながら「Cool!」と呟いて映像のBGMに合わせて演奏していました!笑
満足したのか我々観客側に手を振ってバックステージへと戻って行きましたが、開演前に中々貴重なものを見てしまいましたね〜。
さて、改めてセッティングを拝見!
ギターは自身のシグネチャーモデルであるYAMAHAのマイク・スターンモデル(テレキャスタータイプ)、アンプはブラックパネルのFender Twin Reverbが2台、そしてエフェクターボードはなんと全てBOSSで統一というジャズでは中々見られないセッティングでした。
しかもボード本体までBOSSのBCB-60という徹底ぶり!
【ギター → TU-3 → SD-1 → CH1 → DD3 → DD3 → アンプ】
という接続で同じディレイが2つ入っている以外は割と普通なセッティング。
ディレイは片方がショートディレイの設定で常にONの状態、もう片方がロングディレイの設定でボリューム奏法と併用して局所的に使う、所謂飛び道具的な使い方をしていました。
前述の通りコーラスは常に掛けっぱなし。
サウンドは流石の“スターン節“というか、正直アルバムで聴くよりも遥かに存在感と迫力があり良い方向で期待を裏切られました!
ギターソロは手グセ混じりの“スターン節“全開でしたが、そんな中でもその瞬間に思い付いた正真正銘のインプロヴァイズというようなフレージングも多かったように思います。
驚いたのがそのリズムの取り方でした。
これまたかなり個性的な体の動かし方で、両膝を交互に前後させ8分(たまに4分)刻みでリズムを取るという、真似してみるとなんとも難易度の高い動き!笑
しかしながら常に細かく表と裏を正確に刻んでいるため、リズムを見失うことがないのです。
アンコール前の定番曲「Tipatina’s」は後半でドラマーがメトリックモジュレーション満載のスリリングなソロを取るのが恒例になっているのですが、どんなに複雑な“ズラし“を仕掛けられても全く元のリズムを見失うことなく笑顔でリズムキープ!
毎度違うメンバーを引き連れても各々が常に伸び伸びとしたパフォーマンスを見せられるのはそうしたリズム感を含めたスターン氏の凄まじいまでの“安定感“にあるのだと改めて理解しました。
スターン氏は人柄も素晴らしいですね!
常に心から楽しそうに笑顔で演奏しているのを見ればそれだけでもそう思えるのですが、ちょっとしたMCで笑いを取ろうと戯けてみせたり、観客のリアクションに対してスターン氏自身もリアクションを取ったり。
なんとなく自然体でやっているような気もしますが、とにかく観客を楽しませることを忘れない姿勢は本当に素晴らしかったです!
スターン氏は頻繁に来日しているので機会があれば是非聴きに行ってみてください!
必ずや楽しいステージを見せてくれることでしょう!
スターン氏のサウンドに魅了されたら改めてBOSSのエフェクターで足元を固めてみるのもありかも?笑